ぷらっとほーむの日記 ぷらほブログ

山形市・若者の居場所と学びの場づくりのNPO団体です

 あなたのテーマは何ですか?

taki-plathome2008-07-20



■若い世代による若い世代のための学びの場づくり企画がいよいよ本格始動です。シャカイのありようについてよくは知らない(知る機会を与えられずにきてしまった)わたしたち若い世代が、自分たち自身で、自分たちの本当に知りたい、学びたいことを学んでいくための自主ゼミ、それが「金曜ゼミ:アナタの知らないシャカイ」です。この事業は「やまがた社会貢献基金」の助成を受けています。毎週金曜の夜、山形市江南公民館を会場に、定期的な学びを場を運営していきます(全22回を予定)。
■その金曜ゼミの記念すべき第1回目を18日の19時より開催しました。参加者は、20〜30代の6名(男4/女2)。ゼミの趣旨説明ののち、参加者一人一人から自己紹介をしてもらいました。自己紹介では、それぞれの参加動機(このゼミでの学びを通して何を獲得したいのか)についても発表してもらいました。以下のような声がありました。

●最近脳みそが退化している感じがするので、自分でものを考え、意見を言うということのリハビリがしたい。というか、そもそも元々自分には教養が欠けている。それを身につけたい。
●ぷらほの『ひめゆり』上映実行委員会として事前学習会に参加したとき、今まで知らなかったり避けてきたりした話題についても視野を広げることができた。さらにいろいろなことを知っていきたい。また、自分は人に何かを発表するとき、言葉に詰まったり考えがまとまらなかったりと、スムーズに話せないという課題を抱えている。ゼミに参加することで、少しずつでもそういったスキルを養っていきたい。
●読みたい本、学びたいことはいろいろとあるが、金銭的に手が出せないできた。それができるというので参加した。興味のある本を読んではいるのだが、かなり遅い。「課題として読む」というノルマがあると、読むスピードもあがると思ったので、それを期待して参加した。
●自分は、本をあまり読まない。以前、ぷらほスタッフより「本を読まないとまずいよ」と言われ、自分でもそう思ったので参加した。期日があると読みやすい。
●純粋に自分のスキルアップのつもりで参加した。自分は単語や言葉をよく知らない。ぷらほのあるメンバーがスタッフとやりとりしているのを聞いても、言葉が難しくてよくわからない。わかるようにならないといけない、と思う。スタッフがあるメンバーに「本を読んだほうがいいよ」と言っているのを聞いて、それは自分にも当てはまると思った。

■それぞれの動機をあらためて確認したところで、ゼミという学びのかたちを初めて経験するという人たちのために、ゼミのリハーサルを行いました。このゼミでは「1:自分なりのテーマを決めて関連文献等を読む → 2:自分が読んだ文献等の内容とそれについての感想や意見をみんなに発表する → 3:発表内容について聞く側が質問し、発表者がそれに答えるディスカッションを行う」という手順で、学んでいく予定でおります。この形式や手順を実際に体感してみるため、参加者のうちの二人に持参していただいた文献をネタに、内容・批評の発表、それにたいする質疑応答を行いました。題材となった本は以下のとおりです。

失恋論

失恋論

棒がいっぽん (Mag comics)

棒がいっぽん (Mag comics)

■ゼミの後半は、参加者それぞれのその人なりのテーマ(ゼミではそれにそって関連文献なりを読んでいくことになります)の洗い出しのワークを行いました。どんな人であれシャカイの中で生きている以上、興味・関心を抱いているシャカイ的なテーマが何かしらあると思います。そうした自分なりの関心領域が何であるのかを改めてふりかえり、言語化してみようというのがねらいです。ワークでは、KJ法を活用して、ポストイットに関心事や知りたいことについて片っ端から書き出してもらい、ある程度出尽くしたところで、それら紙片をA3用紙にはりつけ、グループ分けして、それぞれのグループにネーミングしてもらいました。そのようにして、いくつかの柱に分類された各自の関心領域や問題意識について、最後に、参加者一人ずつに発表してもらいました。内容は以下のとおりです。

●宗教:宗教で救われると思っている人たち/アメリカの福音派について、環境問題:環境ビジネスで儲けている人たち、世界情勢:領土問題/アメリカのネオリベラリズム/中国の中華思想格差社会:地方と都市/ワーキングプア、現代史:ゲバラカストロキューバ社会主義、若者心理:ケータイ小説が売れる訳/猟奇殺人。
●国際的な何か:日本のオタク文化が海外に与える影響/戦前の日本文化と世界情勢/世界各国の文化と習慣/ヨーロッパの貴族社会と身分制度、絵的な何か:イラスト関連の仕事にはどんなものがあるか/イラストレーターの生活事例、オカルト的な何か:世界各地の妖怪文化/廃墟(繁栄当時と廃れた背景)。
●マンガと法律:著作権の実情/児童ポルノ法/所得税/パロディとパクリの違いはどこにあるか、オタク文化の実情:日本文化として賞賛されるオタク・アニメ・マンガ/しかしそれと同時にあるオタク・アニメ・マンガに対するバッシング/世界は日本のオタク文化をどう見ているのか/「萌え」とは何か、マンガのつくりかた・つくられかた:マンガ制作の裏側/物語の見せかた/なぜその描きかたを採用しているのか/「お約束」のルーツ。
●労働問題:ワーキングプアはいつ始まった問題なのか/かつての貧困問題はどうだったか、思想・宗教:仏教とキリスト教の似ている点と異なる点/なぜ日本は多宗教なのか/なぜ人は宗教を信じるのか、政治:右翼と左翼とは何か、ものづくり:ものをつくる仕事について/企画などをつくる仕事について。
●性とエロ:女性の恥じらい/AV産業の世界、車・バイク:車やバイクの修理の仕事/ガソリンの価格はどのように決まっているのか、ロック:音楽を聴くこと/ギターを弾くこと/CDを集めること。

■それぞれのテーマが徐々に輪郭をあらわし始めた感じです。今後は、それぞれが以上のテーマにそって文献や作品を読んでいくわけですが、文献や作品は無数にあります。当然ながら、全部読むのは不可能です。今の自分にとって、より必要なものを選んで読んでいかなくてはなりません。そこで次回のゼミでは「テーマに即した文献のさがしかた」というテーマで、文献検索のしかたについて学んでいきたいと思います。ゼミ後半は、実際にまちの大型書店に足を運び、「本のさがしかた」のフィールド実習をする予定です。お楽しみに。